街づくり市民会議特別講演会 2007年(平成19年)5月12日

協働の成果八王子の事例 市民が主役〜シニアパワーで八王子元気
              
八王子市民活動センター
センター長  春田 博さん




はじめに!
今回の講演取材を担当した、街づくり市民会議なかがみ
てやんで 一徹です。

東京都安全・安心まちづくり条例が、平成15年10月1日から施行されました。
昭島市でも平成16年7月1日、街づくり条例が施行されました。
昭島市にかぎらず、東京都の地方自治体は一斉に条例を施行しました。

八王子市のおける街づくり条例
「八王子市都市計画マスタープラン」に
掲げる将来都市像を実現するため、
市民、事業者、及び市の責務を明らかにし、
協働によりまちづくりを推進するために
必要となる基本的な事項を定め、魅力ある
住みよいまちづくりの推進を図ることを目的とする。

東京都の各自治体は平成12〜14年にかけて、街づくり条例の準備を進めてきました。
(八王子では12年に始まっていたそうです。)
しかしながら、自治体におけるコミュニティのマスタープランは様々でありました。
街づくり条例は行政と市民が協働し、地域の安全、住みよい街づくり、
施設管理など、民間経営により削減させ、文化、環境、生涯活動を促進させることを目的とする。
ま〜私の個人的な解釈ははこんな感じかな〜・・・

それにしても、前例の無いマスタープランでありますから、
各自治体・組織委員会発足の経緯は様々だったのではないでしょうか・・・?


本日、講演者の春田博さんは
八王子市民活動協議会の発足当初から運営に参加され
平成18年4月から、その執行機関であります、
八王子生活支援センター・センター長として活躍しています。



政府各省庁担当時代に学ぶ (政府省庁時代、当時の官僚について・・・)
春田さん(以下敬称略)
最近の風潮として官僚のことを誉めるお話は聞いたことがありませんが、
当時の官僚はとても優秀でしたね〜。

てやんで一徹(コメント)
キャリア官僚の事ではなく、ノンキャリア官僚について、語られました。
エリートともいえず、出世も決められた地位までしか上れない、しかし
その仕事ぶりと地道な努力において、キャリア官僚には決して劣らない。
そんな名も無き戦士たちの活躍が高度経済成長の下支えに貢献し、
いかにトップが(総理大臣)変わろうと、ゆるぎない成長を遂げたという
お話だったと思います。
春田さんは昭和11年生まれ、現在70歳、社会に進出してからの人生は、右肩上がりの
高度経済成長時代の企業戦士だったようです。
最初の掴み、意外性のあるお話で、ググット話に引き込まれました。


2007年問題について!
春田
今年になって団塊世代の退職者が2007年頃から、増えると言われて
久しくなりますね〜、しかし地域に戻って、活躍してくれるのかは疑問です。
今まで忙しかった団塊世代が地域でいきいきと活動する為には、単にボランティア
をする、というだけでは長続きはしません。

その点、アメリカはキリスト教の国で、子どものころからボランティア活動に参加して
ごく自然に生活の中で身についています。
日本とは環境がちがいますので、しょうがない話なのですが・・・
ですから日本では生涯社会というテーマを掲げて
生きがい、やりがいがないと市民活動に魅力を感じないのです。

ボランティア活動が身についていないのはシニア世代のことですね!
今の小・中学校は総合学習などで、かなりボランティア活動をしていますから・・・
車椅子体験など、盛んに行われている昨今であります。
しかし将来、活力のある、ボランティア活動が推進されるかは定かでありません。

さて!2007年といえば、現在ですが!
団塊世代が大量退職し、その行き場所はどこなのか、
春田さんはそう簡単には、地元地域に帰ってこないのではないかと、話して下さいました。
その理由は優秀な人ほど、企業が退職後、改めて雇用延長するらです。
なぜって、今までの給料の半分以下で、優秀かつ経験豊かな人材を確保できるからです。
退職者の立場から考えますと、厚生年金満額支給が63歳に延長されています。
その数年間、どのように生活していくのか、みなまで言うなといわれそうですね〜・・・。
それゆえ、市民活動の受け皿は魅力がなければ、人が集まらないと話されていました。
しっかりしたプランを行政が打だし、市民を交えて意見交換の上でマスタープランが生まれる、
協働はそこからスタートしないと、途中で迷走してしまうかもしれませんね!


環境と福祉では先進国日本
春田
地球の水、98%は海にあります。
あとの2%が生活用水で更に飲み水は0.04パーセントということです。
これからは環境がテーマで、人類は考えていく時代でしょう。
それから福祉を考えて市民活動に取り組むことも大事なことだと思いますね!
環境問題と福祉では先進国の日本ですから、市民活動あるいはNPOは
今後も日本では発展して行くと思いますし、世界が注目しています。

これからの環境と福祉は市民活動が主体になり、
民間組織NPOが主になる時代だと語ってくださいました。
行政のすることは限界があるということです。


公設民営化の流れは必然的
春田
地方行政の財政はもうすでに限界に来ています。
どこの地方行政もこのま
まの状態で行けるはずがないのです。
おもな問題点は
(1)財政赤字
(2)公的施設維持管理
(3)職員給与
ではどうすればよいのか!
一人あたりの職員の平均年収を700万円として、
職員の人件費を削減し、公設民営により、民間から雇用を受け入れます。
支援センターの人権費800万円、運営費1100万円です。
支援センターの運営体制は、常勤職員のセンター長、副センター長、
セミ常勤スタッフ3名、非常勤スタッフ4名の合計9名体制で管理運営を行っています。

常勤職員は週5日勤務、セミ常勤スタッフは週4日勤務、非常勤スタッフは
主に専門担当分野(広報誌担当、ホームページ担当、IT担当、啓発担当)
を持つほか、週4〜5回程度の夜間勤務(午後5時〜午後9時)を行っています。
開館時間は火曜〜土曜(休日を除く)午前10時〜午後9時
日曜、祝日は午前10時〜午後5時
休館日、毎週月曜日と年末年始12月29日〜1月3日
但し月曜日が祝日の場合は開館し、翌日の火曜日を休館とします。


いや〜おどろきました。
800万円で支援センター、9人の給与がまかなえるとは!
(運営費は公営、民営、同費用。)
しかもそれだけではなく、この支援センターの機能がすばらしいですよね〜
窓口では市民活動の相談や組織団体・個人の相互協力を支援してますし、
今までの社会福祉協議会とは一味違った切り口をもっています。
民間ならではのキメこまやか過ぎるほどのサービスがあります。
もちろん社会福祉協議会もよくがんばっていると、思いますが、
コストの点で格段の差があるのではないでしょうか!

支援センター組織図
情報セキュリティー委員会
支援センター長



















副センター長



















相談総務部会(担当スタッフ3名)
・窓口業務
・相談業務
・施設管理
・経理
・総務
広報部会(担当スタッフ2名)
・広報誌の発行(市民活動通信)
・HP維持管理
・パンフレットの作成
啓発部会(担当スタッフ1名)
・アクティブ市民塾
・市民活動入門講座
・NPOマネジメント講座
DB部会(担当スタッフ1名)
・DB構築・維持管理
・PC管理



八王子の組織運営、全国第1位ランクまでの経緯
(財団法人関西会社経済研究所の調査結果より)
春田
八王子の組織運営が全国で高い評価を受けているのですが、
その経緯として先ず2000年(平成12年)に市長選がありました。
都議会議員だった黒須隆一氏が新市長となり、行政の方向性
見通しが、よくなりました。

市民にとって行政の顔がよく見えるようになったということですね!

春田
平成14年2月八王子市は特定非営利活動促進法の施行を受け、行政と市民活動団体
との協働とのあり方に関する基本方針を策定この基本方針に基ずき、市内で活動する
NPOなどに呼びかけて協議会の立ち上げに着手しました。
「ゆめおりプラン」というフレーズで広く一般市民にも継続して公開しました。
また、組織からの参加だけでなく個人参加にも着手いたしました。
それによって、枠組のない意見交換が実現しました。

平成14年11月、NPO活動の推進を図るための「市民活動協議会」を
立ち上げるとともに、市民活動の促進と市民活動相互の交流を図るための
市民活動支援センターを平成15年6月24日、公設民営方式により開設しました。
開設当時は、市からの委託方式により、管理運営を行っていましたが、平成18年4月1日
から、平成23年3月31日まで指定管理者として協議会が管理運営を行うことになりました。
以降、指定管理者としてのパートナーシップを発揮して業務しています。


八王子は組織運営(ガバナンス)、全国・第1位になりました。
その輝かしい実績はどうして生まれたか?
話が少しそれますが、
これからの政治は国会議員で右往左往するより、地方自治体のトップで、
手腕を振るう方が、やりがいがあるようです。
宮崎県 東国原知事などもその例外では無いようです。

さて、話を本題に戻します。
それは2000年(平成12年)市長選から始まりました。
行政改革においてもっとも現実的主張を謳った黒須隆一氏が
市長選を制しました。
平成14年には
組織運営の基本とも言うべきマスタープランを市民と協働で考え、
市民に広く公開したことが、何よりも全国でトップになれた要因でしょう。
キャッチコピーの「ゆめおりプラン」もよかったのですね。


事業内容についての説明
春田

先ほどもお話いたしましたが、改めて事業内容についての概要説明をいたしますと、
支援センターの施設、付帯設備及び物品の維持管理。
・市民活動促進、施設提供。
・市民活動者、市民、事業者の相互連携、交流の促進。
・市民活動の係わる啓発及び人材育成。
・市民活動の係わる情報の収集及び提供。
・市民活動の係わる相談。
・市民活動に係わる調査及び研究。
・全各号に掲げるもののほか、市長が必要と認めた事業。

支援センターには5つの機能がありまして、
・相談の場として。
・情報の場として。
・作業の場として。
・交流の場として。
・学習の場として。

支援センターは駅の近くに!
センターが駅から遠く、バスに乗らなければいけないところではだめだそうです。
駅の近くで限りなく中央であれば存在価値が高くなる生活支援センター。
やはり市民(生活者)は買い物ができたり、映画が見れたり、
プラスアルファである、立地条件を満たす地域が最適なのだそうです。

補足として春田さんの筆分を紹介いたします。


八王子ファルマ802ビル5階にある
八王子生活支援センター


活気のある八王子駅から3分
人通りの絶えない三叉路に
ファルマ802ビルがある。

受け付け、相談に対応する
春田博さん

市民に愛され、信頼される支援センターをめざして
昨年4月より、センター長の職責を担う事になり、
責任の重さを痛感しています。
「八王子市・市民活動支援センター」は八王子市の「協働あり方に関する基本方針」
策定に基ずき、まちづくり、環境、福祉、こども育成、国際、文化、スポーツ
など、あらゆる分野の公益的市民活動を支援するため、市が指定した指定管理者
である「八王子市・市民活動協議会」が管理運営をしている「公設民営」の施設です。
市民活動の拠点としての支援センターは5つの機能を有し、
(1)市民活動にする相談。
(2)情報の収集・提供。

パソコンファイルとは別に、棚に並ぶデータ―ファイル
誰でも手にとって資料を収集できる。


(3)会議や情報交換、交流。

(4)学習の場としての講座、イベント企画・実地。
(5)コピー、印刷等の作業の場等を提供しています。

カラーコピーがとても低価格で利用できる。
さすが市民のためのセンターだ!


さる2月24日(土曜)には、団塊世代、シニア世代の地域活動のきっかけづくりを
ねらいとした第6回
「お父さんお帰りなさいパーティ」を南大沢市民センターで
開催されました。
当日は予想を上回る162名の参加があり、黒須八王子市長のご挨拶、
地域デビュー体験者の発表。
第二部では分野別案内コーナーを設営、参加登録100団体の中から26団体による
活動内容の紹介。
参加者との活発な質疑応答や交流など成功裏に終了しました。
地域活動やまちづくりの新たな担い手としての「市民協働」の潮流を感じさせる
市民活動集会でもありました。
ご存知の通り、21世紀は地方分権一括法、NPO法の施行など、新しい地域社会を
形成する為の法律が制定されたことにより、」これからは自治体や地域の力が
試される時代になり、人々の地域社会に寄せる関心度も高まっています。
また都市化や少子高齢化の進展、市財政の悪化、地域コミュニティ機能の衰退、
環境、福祉等あらゆる面で現実的かつ、切実な課題を抱えています。
これらの諸問題の解決は、行政のさらなる努力と、市民の英知結集や市民参加を
促進し、地域の課題解決や成果を図る事が今日的な課題となっています。
当センターは公設民営の担い手として、本来業務の以外に、市民、NPO、町会、
自治会、企業、大学、行政などとの地域ネットワークを広げ、相互の連携を
コーディネートする等、市民による市民のための中間支援組織をめざし、
市民の信頼に応えて参りたいと思います。
皆様の指導、ご支援をお願い申し上げます。
                   (八王子市市民センター センター長 春田 博)


ファルマビル5階センター入り口



おしまいに! 八王子市と昭島市の、まちづくり市民活動比較
東京都安全・安心まちづくり条例は地方行政に波紋を投げかけました。
地方自治体は平成15年の条例施行前から準備を進めていきました。
当時まったく前例のない、この条例案に戸惑いながらも、
プランを立てる地方行政の右往左往する姿が伺える昨今です。

八王子市・立川市・福生市、周辺の様子を伺う間もなく、昭島市も動き出しました。

八王子市は黒須市長が、行政改革の主軸として歯車を回しました。
プランの策定に行政は八王子市民の参加を委ねました。
キャッチコピーは「ゆめおりプラン」中身、内容はまだ白紙の状態でしたが、
それが、市民の心をがっちりと掴んだようです。

昭島市は第四次総合基本計画でコミュニティの推進を掲げ、 コミュニティ意識の醸成・定着を目標にしました。
そこで中神駅南地区を対象にして、説明会を開催しました。
○14年12月19日にコミュニティ・モデル事業説明会を
 開催しました。
○15年1月30日にはコミュニティ・モデル地区協議会
 設立準備会が発足しました。
○平成15年11月22日には「あきしま・街づくり市民
 会議・なかがみ」の設立総会が福祉会館3F会議室で開
 催されました。その後、15〜16年度の2年間モデル
 事業として実施されました。

昭島市は、最終目標として、6輪(6ブロック)の歯車を回す計画をしました。
「ゆめおりプラン」のようなキャッチコピーはなく、
中神地区を中心に立ち上げ構想が実行されました。
とにもかくにも、先ずは小さな車軸の1輪をゆっくり回し始めました。
それが、あきしま<街づくり市民会議>なかがみです。

続いて2輪をかみ合わせました。
武蔵野会館の民間経営を主軸とした、
街づくり・武蔵野地区が、2輪を回しはじめました。
先ずは上々の滑り出しではないでしょうか。
さて次なる3輪は、美堀町のようです。
推進委員会も発足した様です。


八王子市民活動協議会は「ゆめおりプラン」から多大なる成果をあげ、
今後どのように発展していくかが楽しみです。
昭島市におきましては、市民会議なかがみ地区と中神北・武蔵野地区が
顕著に運営され、更なる発展を期待されています。
八王子・昭島、めざす方向は同じだとは思いますが、
その立ち上げ状況は動と静と言った感じでしょうか・・・!

市民活動支援センターのある、八王子市は羨ましくもあり、凄いな〜と感じました。
昭島市でセンターを構えるとしたら、どこがよいでしょうか?
そして次の立ち上げ地区はどこなんでしょうか?
そんな質問を春田さんにお伺いしました。
「それは市民が提案するものだ、行政から言ってくるものではない」
と、答えて下さいました。

おしまいに!
昭島市の街づくり市民会議なかがみは
行政の地域ブロック化構想により、
中神地域として、相当の成果を上げています。

自治会運動会の合同大会。
熊野神社餅つき大会。
更に、なかがみ地区の犯罪件数は
現在信じられない数字で激減中です。
また、道路整備の提案と実現。
生涯学習の分野では、芸能、国際交流、
読み聞かせ、健康促進、歴史散策など、
各部会の分野で活躍中です。

行政の縦糸、市民の横糸をつなぎ、協働の精神で
心豊かな街づくりの実現のため、
皆で考えて行きましょう。

取材・てやんで一徹

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